中小企業のEDR導入ガイド|選定ポイントから課題解決までを解説

中小企業のEDR導入ガイド|選定ポイントから課題解決までを解説
更新 (2024.6.14 公開)

「うちは中小企業だからサイバー攻撃なんて関係ない」と思っていませんか。実は、今最もサイバー攻撃の標的になっているのは中小企業です。しかし、限られた予算と人材で「どうやってセキュリティ対策をすればいいかわからない」という悩みを抱える経営者の方も多いでしょう。
近年では、サイバー攻撃の手口が巧妙化していることから、「侵入されることを前提」としたセキュリティ対策であるEDRに注目が集まっています。
本記事では、中小企業がEDR(Endpoint Detection and Response)を活用することで、いかにサイバーセキュリティを強化できるのか、製品選定のポイントから具体的な導入方法まで詳しく解説します。

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目次

中小企業におけるサイバーセキュリティの重要性

中小企業におけるサイバーセキュリティの重要性は、近年ますます高まっています。大企業と比べて予算や人材が限られている中小企業は、サイバー犯罪者にとって魅力的な標的となっています。実際、中小企業を狙ったサイバー攻撃は年々増加傾向にあります。

ランサムウェ被害企業の規模
出典:IPA「2021年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書について

中小企業がサイバー攻撃の被害に遭うと、事業の中断や機密情報の漏洩などによる直接的な損害だけでなく、取引先や顧客からの信頼を失うことで、長期的な業績に大きな影響を与える可能性があります。

特に、サプライチェーンにおける中小企業の役割を考慮すると、サイバーセキュリティの重要性はさらに増します。中小企業は、大企業のサプライチェーンの一部として重要な役割を担っていることが多く、中小企業のセキュリティ対策が不十分な場合、サプライチェーン全体のセキュリティリスクが高まります。

実際に、大企業への攻撃の足がかりとして、そのサプライチェーン上の中小企業が狙われるケースが増えています。中小企業のセキュリティ対策が不十分であれば、攻撃者はその脆弱性を突いて、大企業の機密情報にアクセスすることが可能になります。

したがって、中小企業は自社の事業を守るためだけでなく、サプライチェーン全体のセキュリティを維持する責任もあると言えます。サイバーセキュリティ対策への投資は、中小企業にとって不可欠な経営課題と言えるでしょう。

中小企業が抱えるサイバーセキュリティの課題

しかし、中小企業は、サイバーセキュリティ対策において様々な課題を抱えています。

予算の制約

まず、予算の制約があります。大企業と比べて限られたIT予算の中で、効果的なセキュリティ対策を実施することは容易ではありません。また、サイバーセキュリティは優先順位が低いと見なされがちで、十分な予算が割り当てられないことがあります。

専門人材の不足

専門人材の不足が挙げられます。サイバーセキュリティは専門性の高い分野であり、社内に専門知識を持つ人材を確保することが難しい中小企業がほとんどです。しかし、社内にセキュリティ専門家がいない場合、脅威の検知や対応が遅れ、被害が拡大するリスクが高まります。

運用負荷の高さ

セキュリティは導入したら終わりではなく、継続的な運用と監視が必要です。セキュリティアラートへの対応や、脅威の分析、システムの更新など、専門知識を要する作業が多く、中小企業の限られた人的リソースでこれらの作業を行うことは困難です。

EDRとは何か?なぜ中小企業に必要なのか

EDRの基本概念

EDRとは「Endpoint Detection and Response」の略で、PC・スマートフォン・サーバなどのエンドポイント(端末)のセキュリティを強化する仕組みや製品を指します。 最大の特徴は、「侵入されることを前提」としたセキュリティ対策である点です。従来のセキュリティ製品が「侵入を防ぐ」ことに主眼を置いていたのに対し、EDRは「侵入された後の対処」に重点を置いています。
EDRは、エンドポイントの異常動作を常時監視し、脅威を自動的に検知して迅速に対応することができます。機械学習やビッグデータ分析を活用することで、未知の脅威も高い精度で検知可能です。この自動化された機能により、専門知識を持つ人材が不足している中小企業でも、一定レベルのセキュリティ監視と対応が実現できます。
また、EDRは一元的な管理機能を提供するため、限られた人的リソースでも効率的にセキュリティ運用を行うことができます。アラートの優先順位付けや対応の自動化により、運用負荷を大幅に軽減できます。
さらに、クラウドベースのEDRサービスを利用することで、中小企業は導入コストを抑えつつ、高度なセキュリティ対策を実現できます。初期投資を最小限に抑え、予算の制約がある中小企業でも導入しやすいです。

このように、EDRは中小企業が抱えるサイバーセキュリティの課題を総合的に解決するソリューションであり、予算や人材に制約がある中小企業こそ、EDRの導入をお勧めします。

中小企業にEDRが必要な理由

中小企業におけるサイバーセキュリティの重要性は、近年ますます高まっています。特に以下の理由から、EDRの導入が急務となっています。

サプライチェーン攻撃の増加

中小企業は大企業のサプライチェーンの重要な一部を担っています。攻撃者は、セキュリティが比較的弱い中小企業を踏み台にして、最終的に大企業の機密情報にアクセスすることを狙っています。

取引先からの要請

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によれば、中小企業の約12%が「取引先等からの情報セキュリティ対策の要請がある」と回答しています。セキュリティ対策が不十分な場合、取引停止というダイレクトな事業継続リスクを負うことになります。

中小企業におけるEDRの選定と導入のポイント

中小企業がEDRを選定・導入する際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。

必要な機能の見極め

まず、自社のセキュリティニーズと予算に合ったEDRソリューションを選ぶことが重要です。中小企業のニーズは多様であり、全ての機能を必要としない場合もあります。必要な機能を見極め、過剰な投資を避けることが賢明です。

サポート体制

また、EDRの導入と運用におけるベンダーのサポート体制も重要な選定基準の一つです。中小企業では、社内にセキュリティ専門家がいないことが多いため、ベンダーの手厚いサポートが不可欠です。導入支援だけでなく、運用段階でのトラブルシューティングや脅威対応のサポートも確認しておくべきでしょう。特に、24時間365日対応可能なサポート体制を備えたベンダーを選ぶことが重要です。サイバー攻撃は休みなく行われるため、常に専門家の助言と支援を得られる体制が必要不可欠です。

データ復旧機能

加えて、ランサムウェア対策としてのデータ復旧機能を備えたEDRソリューションを選ぶことも考慮に加えてください。ランサムウェアによる被害が増加する中、感染後のデータ復旧が可能な製品を選ぶことで、事業継続リスクを大幅に減らすことができます。データの復旧機能の有無は、EDR選定の重要な基準の一つと言えるでしょう。

価格体系(最小購入可能数)

価格体系も中小企業にとって重要な選定基準です。大企業向けのEDRソリューションは、ライセンス数に応じた価格設定になっていることが多く、最低購入可能数量が10ライセンスであったり、中小企業には過剰な投資となってしまいます。中小企業に適したEDRは、1ライセンスから購入できるものがベストです。これにより、少数のエンドポイントから導入を始め、徐々に規模を拡大していくことができます。

EDR導入のメリット

EDRの導入は、中小企業のサイバーセキュリティ強化に多くのメリットをもたらします。高度な脅威検知機能により、未知の脅威や巧妙化する攻撃に対応できます。包括的な可視化機能で、ネットワーク上の異常動作を早期発見・対処できます。
自動対応機能により、セキュリティインシデントへの対応を自動化し、人的負荷を軽減できます。ログ管理・分析機能で、インシデントの原因究明と再発防止が容易になります。
さらに、コンプライアンス要件の充足にも役立ち、取引先や顧客からの信頼を獲得できます。

ALSOKでは、AIによって脅威を検知し、復旧までを自動で行うEDRサービスを提供することにより、中小企業の課題を解決いたします。
また、従来のEDRには無い、マルウェア等に感染したり暗号化されてしまったファイルのロールバック機能を持ち、ランサムウェアの対策に強い製品です。30日の無料トライアルもお気軽にお申込みください。

まとめ

EDRは、大企業が導入するものと思われがちですが、実際には中小企業にこそ最適なソリューションです。中小企業を取り巻くサイバーセキュリティ環境は日々厳しさを増しています。限られたリソースの中で効果的なセキュリティ対策を実現するには、EDRの導入が最適解の一つです。

EDRが中小企業に適している理由

  • 専門人材不足を自動化でカバー
  • 予算制約に配慮した価格体系
  • 高度な脅威にも対応可能
  • 取引先要求にも対応

サイバー攻撃は「もしも」の話ではなく、「いつ」起こるかの問題です。事業を守り、継続的に成長するために、EDRの導入を真剣に検討してみてはいかがでしょうか。 まずは無料トライアルや製品デモを活用して、自社に最適なEDRソリューションを見つけることから始めましょう。

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