フリーWi-Fiの落とし穴 安全に利用するために注意すべき内容とは?

フリーWi-Fiの落とし穴 安全に利用するために注意すべき内容とは?
2024.7.4

スマートフォンやタブレット、ノートPCの普及に伴い、フリーWi-Fi(公衆Wi-Fi)は私たちの日常生活に欠かせない存在となりました。カフェや空港、ショッピングモール、さらには公共交通機関まで、無料のWi-Fiスポットは至る所に存在し、多くの人が利用しています。
しかし、この便利さの裏には、危険が潜んでいることをご存知でしょうか。フリーWi-Fiは、使い方を誤ると思わぬ情報漏えいに繋がる可能性があります。 本コラムでは、フリーWi-Fiに潜む危険性を詳しく解説し、利用者が取るべき対策について解説します。

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目次

フリーWi-Fiとは?

フリーWi-Fiとは、公共の場所で誰でも利用することができる無線LANサービスのことであり、多くの場合は、無料で利用することができます。
フリーWi-Fiには、大きく分けて二種類あります。1つは、接続時にパスワードを必要としないオープンなネットワーク。もう1つは、何らかの認証を必要とするセキュアなネットワークです。 オープンなネットワークは接続が簡単である反面、通信が暗号化されていないため、通信内容を第三者に傍受されるリスクがあるという問題があります。一方、セキュアなネットワークは、WPA2、WPA3などの暗号化技術を使用しているため比較的安全と言えますが、パスワードが公開されている場合はセキュリティ上のリスクが残ります。

このようにフリーWi-Fiは大変便利な仕組みですが、セキュリティ上の危険が潜んでいるため、リスクを知ったうえで正しく使う必要があります。

フリーWi-Fiにおける主な危険

フリーWi-Fiにおける主な危険は、以下の4つに分類されます。

盗聴

フリーWi-Fiは、多くの場合、暗号化されていないオープンネットワークです。これは、同じネットワークに接続している誰もが、あなたの通信内容を傍受できる可能性があることを意味します。悪意のある第三者が特殊なソフトウェアを使用すれば、パスワードやクレジットカード情報などの機密データを容易に盗み取ることができてしまいます。

マルウェア感染

フリーWi-Fiは、マルウェアの格好の侵入経路となります。悪意のある攻撃者が設置した偽のアクセスポイントに接続してしまうと、知らぬ間にマルウェアに感染する可能性があります。これにより、個人情報の窃取やランサムウェア攻撃などの被害を受ける恐れがあります。

なりすまし攻撃

攻撃者は、正規のフリーWi-Fiと同じもしくは似た名前のアクセスポイントを設置し、利用者を騙すことがあります。このような手法は「悪魔の双子(イビルツイン)攻撃」と呼ばれ、 攻撃者は利用者の通信を完全に制御し、機密情報を盗み取ることができます。

攻撃の流れは以下のようになります。

1. 偽アクセスポイントの設置

攻撃者が、正規のWiFiアクセスポイントと同じSSID(ネットワーク名)を使用して偽のアクセスポイントを設置します。

2. 信号妨害

場合によっては、正規のアクセスポイントの信号を妨害して、ユーザーを偽のアクセスポイントに接続しやすくします。

3. ユーザーの接続を待つ

ユーザーが偽のアクセスポイントに接続するのを待ちます。

4. データの傍受

ユーザーが偽のアクセスポイントに接続したら攻撃者は通信内容を傍受したり、偽のウェブサイトに誘導したりします。


この攻撃の恐ろしい点は、ユーザーが気づきにくいことです。接続先の名前が正しいため、多くの人は疑いを持ちません。しかし、この間にパスワードやクレジットカード情報など、重要な個人情報が盗まれてしまうのです。

安全に利用するための対策

これらの危険から身を守るため、以下の対策を講じることが重要です。

VPNの使用

Virtual Private Network(VPN)を使用することで、フリーWi-Fiを利用する際の通信を暗号化し、盗聴や不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。信頼できるVPNサービスを選び、フリーWi-Fiに接続後は必ずVPNを起動する習慣をつけましょう。

HTTPS接続の確認

ウェブサイトにアクセスする際は、URLが「https://」で始まっていることを確認しましょう。HTTPSは通信を暗号化するため、データの傍受や改ざんを防ぐことができます。多くのブラウザでは、アドレスバーに鍵マークが表示されるので、それも確認するとよいでしょう。

自動接続設定の無効化

多くのデバイスには、以前接続したWi-Fiネットワークに自動的に接続する機能があります。この機能を無効にすることで、意図しない不正なネットワークへの接続を防ぐことができます。
また、Wi-Fiを使用していないときは、デバイスのWi-Fi機能をオフにしましょう。これにより、不要なネットワークへの接続や、デバイスの位置情報の追跡を防ぐことができます。

重要な情報の入力を避ける

フリーWi-Fiを利用する際は、オンラインバンキングやクレジットカード情報の入力など、機密性の高い操作は避けるべきです。どうしても必要な場合は、携帯電話回線を使用するか、安全性の確認されたネットワークで行うようにしましょう。

フリーWi-Fiの提供元を確認

利用するフリーWi-Fiの正確な名称と提供元を確認しましょう。不審な名前や、明らかに偽物と思われるネットワークには接続しないようにしましょう。

フリーWi-Fiのガイドライン

フリーWi-Fi関連のガイドラインとしては、以下がありますので、参考にしましょう。

無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティに関するガイドライン

総務省では、無線LAN(Wi-Fi)を安全に利用するためのガイドラインを公開しています。ガイドラインは①「自宅利用者向け」、②「フリーWi-Fi利用者向け」、③「フリーWi-Fi提供者向け」と3種類公開されています。 大変わかりやすくまとめられているので、一読してみましょう。その他にも、無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティ対策に係るオンライン講座も開講しており、誰でも無料で学ぶこともできますので、ぜひ活用しましょう。

(参考:総務省  無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用(セキュリティ確保)について

安心安全な公衆無線LAN提供のためのガイドライン

無線LAN ビジネス推進連絡会では、フリーWi-Fiの提供する事業者向けのガイドラインを提供しています。フリーWi-Fiを提供するにあたり意識すべきことや必要な対策について丁寧にまとめられています。
フリーWi-Fiを提供する人だけでなく、利用する人にとっても参考になる内容のため、こちらも参考にしましょう。

(参考:無線LAN ビジネス推進連絡会  安心安全な公衆無線LAN提供のためのガイドライン

災害時にも利用されるフリーWi-Fi

フリーWi-Fiは災害時の通信手段としても活用されています。「00000JAPAN(ファイブゼロ・ジャパン)」という取組みをご存じでしょうか。 これは、2011年の東日本大震災の際に、通信事業者がフリーWi-Fiを無料開放したことをきっかけに進められた取り組みであり、 近年では地震などの災害発生時やモバイル通信事業者の大規模な障害の発生時に無料開放が行われています。 アクセスポイント名(SSID)は「00000JAPAN」で、誰でも、パスワードを入力することなく接続して、安否確認等の情報の共有や入手に利用することができます。

ただし、利便性を最優先しているため、認証や通信の暗号化がされない状況で提供されます。 そのため、情報収集などの最低限の利用にとどめ、多くの人が利用できるよう配慮するとともに、間違ってもSNSのログイン情報やクレジットカード情報の入力などは行わないよう気をつけましょう。

(参考:総務省  公衆Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル(令和6年3月版)

まとめ

フリーWi-Fiは、私たちの生活に大きな利便性をもたらす一方で、重大なセキュリティリスクも内包しています。これらのリスクを認識し、適切な対策を講じることが安全にインターネットを利用する上で必要不可欠です。 個人レベルでは、VPNの使用やHTTPS接続の確認など、基本的な対策を習慣化することが重要です。同時に、フリーWi-Fiを提供する側も、安全に利用できるようガイドラインを活用しながら適切なセキュリティ対策を行うことが大切です。
フリーWi-Fiの利用を完全に避けることは現実的ではありませんので、便利さと安全性のバランスを取りながら、賢く利用しましょう。

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