SDGsにおけるサイバーセキュリティへの取り組みとは
昨今、テレビや新聞で「SDGs」という言葉に触れる機会が増えたかと思います。内閣府が実施した認知度調査でも「SDGsについて知っている」と答えた人が97.4%に達し、2.6%の人は「SDGsという言葉は聞いたことがある、もしくはロゴは見たことがある」と答えているなど、「SDGs」が社会に浸透している言葉だということが伺えます。
そこでこの記事ではSDGsの概要と、企業が掲げるSDGsの目標達成にはサイバーセキュリティ対策が必要であるということを紹介したいと思います。
目次
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択され、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。
17のゴール、169のターゲット、247(重複を除くと231)の指標から構成され、地球上で「誰一人取り残さない」を理念に掲げています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本も積極的に取り組んでいます。
SDGsは国連で採択されたものですが、すでにビジネス世界での「共通言語」になりつつあります。SDGsへの取り組みが、企業価値を挙げて社会への貢献やビジネスにおける信頼獲得、さらには人材確保へつながり、あらゆる方向でプラスの効果が得られるでしょう。そして、これらのゴールを達成するために、日本経済団体連合会や各業界団体、個別の企業においても取り組みが広がっています。特に大企業では、サプライチェーン全体の見直しを始めており、関連するサプライヤーにも影響が広がりつつあります。
出典:外務省「SDGsとは?」
出典:環境省「すべての企業が持続的に発展するために「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」(第2版)の発行について」
SDGsとサイバーセキュリティ
社会全体のデジタル化の推進は、労働環境の効率化や多様なライフスタイルの実現、新たな価値を創造できる豊かな社会を実現することで、SDGs達成に貢献するとされています。また、総務省の発表したICTグローバル戦略において、SDGsの目標達成戦略の一つとして「サイバーセキュリティ戦略」が重視されており、SDGsの目標達成のためにサイバーセキュリティはなくてはならない戦略です。
以下、具体的なSDGs関連項目を3点ご紹介します。
ターゲット9.1産業と技術革新の基盤を作ろう
まず一つ目は、目標9「産業と技術革新の基板をつくろう」の中の、ターゲット9.1「すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高く、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント※)なインフラを開発する。」です。
※レジリエント…速やかに元の状態に回復する能力・性質のことをいいます。
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」が掲げられた背景として、インフラ整備が不十分であること、インターネットアクセスできていない人が多数存在すること、資源不足や少子高齢化による生産年齢人口(15~64歳)の減少が問題視されています。
特に、資源不足や少子高齢化による生産年齢人口の減少は、日本を含む先進国にも当てはまります。そのため多様化する社会問題に対応し、持続可能な産業にしていくためにはイノベーションによる大きな変化が重要と考えられています。
そのため、昨今、巧妙化・高度化しているサイバー攻撃やセキュリティインシデントにも耐えられるITインフラの構築が必要であると言われています。さらに、コンピュータやサーバ等の機器だけではなく、強固で安全なインターネット環境を機能させるためにもサイバーセキュリティは欠かせないといえるでしょう。
ターゲット16.10平和と公正をすべての人に
二つ目は、目標16「平和と公正をすべての人に」の中の、ターゲット16.10「国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。」です。これは各国または国際的にも、問題に対して法律に従って平等に解決できるように、国民が公共の情報にアクセスする権利(パブリック・アクセス)を保証する国を増やすことが目標であり、その情報資産を保護(正確性の担保)することが重要とされています。
国民が安心して情報へアクセスし、安全にネットを利用するためには、サイバー犯罪への対策を徹底しなければなりません。大切な情報資産を脅かす脅威として、不正アクセスや情報漏えい、データの改ざんなどが挙げられます。これらの脅威によって安全性が失われてしまうと、正確性や信頼性の損失につながるため、情報資産を守るためにサイバーセキュリティ対策を徹底することが必要です。
ターゲット8.5働きがいも経済成長も
三つ目は、目標8「働きがいも経済成長も」の中の、ターゲット8.5「2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。」になります。
「働きがいも経済成長」を掲げている背景として、世界では貧困状態が続いている国で働いている人や、学校に行けない子どもがいることが問題視されています。世界中の人々の生活の質を良くして豊かな生活を送るために、“人間らしく仕事ができ”、“同じ仕事に対して同じ給与を支払う”社会をつくることが重要とされています。
昨今、テレワークが普及したことで労働者が働きやすく、ワークライフバランスを保ちやすい環境が構築されつつあります。地方移住者や育児や介護といった理由で出社の困難な人が安全な端末を使用し業務を行えるようになることで、就業機会の提供が可能となります。
SDGsに取り組む企業事例
SDGsの231の指標は具体的な数値目標が定められているものが多く、企業も数値として具体的な目標を定めている場合があります。ここでは、欧州自動車会社を参考にSDGsの取り組みとサイバーセキュリティの重要性について解説します。
欧州自動車会社の事例
例えば、欧州の自動車会社は「SDGs目標12:つくる責任つかう責任」を実現するため「車一台あたりの生産にかかった資源消費量(CO2排出量)を明確にする」という目標を掲げています。
車一台を生産するために発生する資源消費量は、全パーツの資源消費量および自社で組み立てるのにかかった資源消費量の合計です。目標達成に向けた施策の一つとして、資源消費量の可視化のために、パーツの納品時には部品会社から部品単位でのCO2使用料の提出を求めています。この資源消費量が増え続けると、地球温暖化の進行、異常気象の発生や地域の気候特性の変化など、地球環境にさまざまな悪影響を及ぼします。
環境問題の取り組みの一環として、資源消費量を明確化することでCO2削減を目指し、SDGs達成の実現に近付くことが可能となるでしょう。
サイバーセキュリティの重要性
上記でご紹介した欧州の自動車会社の事例では、資源消費量を可視化し、明確にすることが環境問題の取り組みに重要な施策の一つとされています。
しかし、資源消費量のデータを改ざんされてしまうと正確な合算値を得られず、企業・組織に大きな被害や影響をもたらすことになりかねません。この資源消費量データの信憑性を高めるためには、サイバーセキュリティが必要不可欠です。各企業はサイバーセキュリティ対策をしっかり行い、データが改ざんされるリスクを低減する必要があります。
ALSOKが提供するサイバーセキュリティサービスでSDGsの促進をサポート
上述でもお伝えしていますが、社会全体のデジタル化の推進は、労働環境の効率化や多様なライフスタイルの実現、新たな価値を創造できる豊かな社会の実現につながり、SDGs達成に貢献するとされています。その中で課題の一つとしてあげられるのがサイバーセキュリティ対策です。
ALSOKでは、サイバーセキュリティサービスによるインフラ構築や強固な情報セキュリティの確保を通じて、お客様のSDGs達成をサポートしています。
ALSOK UTM運用サービス
ALSOK UTM運用サービスは、さまざまなセキュリティ機能が監視装置1台に集約されているため、ネットワーク内の情報資産や顧客情報のデータ改ざんといった不正アクセス対策におすすめです。ネットワーク内に設置したUTM(統合脅威管理)がウイルスや不正侵入等の脅威からお客さまのネットワークを守ります。
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パソコン等にインストールされているソフトウェアは常に最新のものか、修正パッチが適用されているかを確認するなど、企業が保有しているIT機器を一元管理することが可能です。導入から運用まで全面サポートし、テレワーク時を含めたセキュリティ対策も万全。ウイルス感染のリスクとなるソフトウェアのバージョン管理や、セキュリティパッチの適用状況も把握できます。
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まとめ
この記事ではSDGsの概要と、サイバーセキュリティ対策が必要なSDGsのターゲットを紹介しました。企業が掲げるSDGs目標の達成にはサイバーセキュリティ対策は必要不可欠です。サイバーセキュリティ対策についてお悩みの場合は、ぜひALSOKにご相談ください。