安心して年賀状を印刷しよう!久しぶりのパソコン利用で気をつけたいセキュリティのポイント

安心して年賀状を印刷しよう!久しぶりのパソコン利用で気をつけたいセキュリティのポイント
2024.12.11

年賀状は、日本の大切な文化的伝統であり、心温まる挨拶と家族や友人とのつながりを再確認する特別な機会です。毎年、沢山の方が大切な人への想いを、丁寧に選んだ言葉や絵柄に込めて送り、新年の喜びと希望を分かち合います。しかし、デジタル技術の進化と共に、この温かな習慣にも新たなリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。特に、普段パソコンを使用しない方や久しぶりにパソコンを起動する方にとって、セキュリティの脅威は目に見えにくく、対処が難しいものとなっています。
本稿では、年賀状印刷を安全に楽しむための実践的なアドバイスや、あまりパソコンを起動されない方々に対し、サイバーセキュリティリスクへの対処方法を詳しくご紹介します。テクノロジーへの不安を取り除き、安心して年賀状を作成・印刷できるよう、具体的で分かりやすいガイダンスを提供します。

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目次

年賀状印刷と最近のサポート詐欺の実態

近年、年賀状じまいやSNSによる年賀状に切り替える方が増えてきてますが、従来通りはがきで年賀状をされる方はまだまだ沢山いらっしゃいます。そういった方の中で、年賀状を作成される際自宅のパソコンで印刷される人も多いかと思います。年賀状は1年に1回のイベントのため、普段パソコンを使用しない方や、久しぶりにパソコンを起動する方もいらっしゃいますし、プリンタ自体を久しぶりに起動した方もいると思います。年末はそういった方を狙った悪質な詐欺が増加する時期です。
例えば久しぶりにプリンタを動かしたいと思った場合、皆様どういった行動をされますか?「使い方を忘れてしまった」、「プリンタを動かすためのソフトフェアが古いので新しいものをインストールしないといけない」など、色々不明点が出てくるのでインターネットで調べものをしませんか?そういったときYahooやGoogleの検索サイトにて、自分が使ってるプリンタについて調べ始めるでしょう。その時こそが悪意ある人間の狙い時なのです。
検索サイトをご利用された方はご存じだと思いますが、検索結果画面上部はスポンサー欄となっており、広告が表示されることがあります。入力したキーワードに関連するウェブサイトが表示され、クリックしやすくしているのです。しかし、ここにネット詐欺師が詐欺サイトを紛れ込ませることがあります。
最近、米国のセキュリティ会社「Malwarebytes」が、「Printer problems? Beware the bogus help」において、プリンタの公式サポートを装った詐欺が確認されたとして、注意を喚起しました。内容としては、GoogleやYahooなど検索サイトの広告欄にプリンタメーカーを装った詐欺サイトが表示され、サイトを訪れた人に不正なプリンタドライバーをインストールさせるというものです。この不正なプリンタドライバーがマルウェアとなっており、パソコンから情報搾取や遠隔での不正アクセスが可能となってしまいます。因みにプリンタドライバーとは、プリンタをパソコンで利用する為に必要なソフトウェアで、適時メーカーがバージョンアップしていますので、プリンタ利用時に最新版があるかを確認してインストールする必要があります。この事例では詐欺広告によるマルウェアインストールが発生しましたが、詐欺広告サイトに記載されている電話番号に連絡させることでサポート詐欺を誘発させる罠も存在しています。
こういった詐欺行為は、テクノロジーの進化とともに複雑化し、巧妙な手口で被害者を狙っています。特に注意が必要な詐欺の形態として、テクニカルサポート詐欺とリモートアクセス型詐欺が挙げられます。
テクニカルサポート詐欺は、被害者を不安と恐怖に陥れる卑劣な手口です。突然の電話やポップアップメッセージで、被害者に対して架空のシステムエラーや緊急性の高い状況を強調します。攻撃者は、専門家を装い、パソコンに深刻な問題があるかのように見せかけ、被害者に高額な「修理費用」を支払うよう迫ります。
さらに危険なのがリモートアクセス型詐欺です。この手法では、攻撃者が被害者のパソコンに不正にアクセスし、個人情報や金融情報を窃取します。被害者に何らかの方法でリモートアクセスツールのインストールを誘導し、一旦システムにアクセスすると、マルウェアをインストールして被害者の情報を盗み取るのです。
これらの詐欺は、被害者の不安や技術的な知識の不足を巧みに利用し、金銭的な損失だけでなく、個人のプライバシーや精神的な安全も脅かします。常に警戒し、不審な通信や要求には慎重に対応することが重要です。
このようなサポート詐欺による被害額は年々増加しており深刻な社会問題となっています。特に、デジタル弱者と呼ばれる層が狙われやすい傾向にあります。犯罪者はソーシャルエンジニアリングと呼ばれる心理的操作技術を巧みに使い、被害者の不安や困惑につけ込みます。例えば、「至急対応が必要」「システムに重大な問題がある」といった緊急性を煽る表現を用いて、冷静な判断を妨げようとしているのです。

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サポート詐欺の見分け方とその対策

ではサポート詐欺を見抜くため私たちは何に気を付ければいいのでしょうか?見抜くためにはいくつかの重要なポイントがあります。
まず、パソコンの画面に突然現れる警告メッセージや、緊急性を煽るポップアップは要注意です。また、サポート詐欺は、人間の心理的脆弱性を巧みに利用した犯罪です。恐怖、不安、焦りといった感情を操作し、被害者の合理的判断を妨げることを目的としています。攻撃者は、まず難解な技術用語を多用して被害者の理解を意図的に阻害します。専門的で複雑な言葉を並べることで、被害者の無知や不安につけ込む手法を用いるのです。さらに、サポート企業や技術者を装い、時には公的機関や大手企業を名乗ることで、偽の信頼性を作り上げます。特に効果的な心理操作の手法は、即時対応の必要性を煽ることです。放置すると重大な損害が発生するかのように脅し、時間的なプレッシャーをかけることで、被害者の冷静な判断力を奪おうとします。被害者に緊急性と危機感を感じさせ、即座の行動を要求することで、論理的な思考を妨害するのです。具体的には、技術的な専門用語を駆使して被害者を混乱させ、焦りや不安を煽る言葉遣いを用います。そして、個人情報や遠隔操作の許可を巧みに求めていきます。被害者の心理的な脆弱性を徹底的に利用し、最終的には個人情報の窃取や不正なソフトウェアのインストールを狙うのです。
また、メーカーのサポートを受ける為に情報を検索サイトで検索する際は、上部に表示される広告リンクではなく、検索結果に出てくるメーカーの正規のWebサイトを開くようにしましょう。正規なWebサイトかを判断するポイントとして、ドメインを確認する方法があります。ドメインとはインターネット上の住所を表す文字列で、WebサイトのURLは「https://www.○○○.co.jp」のような表記となり、この中でドメインとは「○○○.co.jp」のところとなります。例えば有名なプリンタメーカー「キヤノン」を一例に取ると、URLは「https://www.canon.jp」となり、ドメインは「canon.jp」となります。検索サイトのgoogleもyahooも検索結果にはドメインが表示されますので、ドメイン名で正規なWebサイトかを判断するのも詐欺サイトを見極める手段となります。

不審なメッセージを受け取った場合や電話対応に疑問を持った場合、冷静さを失わず、慎重に対応することが極めて重要です。まず、相手の要求に即座に従うのではなく、冷静に状況を判断する必要があります。個人情報を開示することは絶対に避けなければなりません。相手がいかに専門的で信頼できるように装っていても、電話で個人情報を聞き出そうとする行為は詐欺の可能性が高いことを認識しましょう。即座に電話を切り、家族や信頼できる人に状況を相談することをお勧めします。第三者の客観的な視点は、状況の本質を見極める上で非常に有効です。特に、高齢者や技術に不慣れな方は、家族や知人に相談し、適切なアドバイスを求めることが大切です。状況によっては、警察への通報も検討する必要があります。特に、詐欺の痕跡が明確で、個人情報の流出や金銭的被害のリスクが高いと判断された場合は、すぐに最寄りの警察署に連絡し、専門家のアドバイスを仰ぐべきです。同時に、メーカーの公式ウェブサイトや信頼できるサポートセンターに直接問い合わせ、状況の確認と適切な対応を求めることも重要です。

このような冷静で慎重な対応により、サポート詐欺による被害を未然に防ぐことができます。常に疑問を持ち、個人情報保護に細心の注意を払うことが、デジタル社会における安全の鍵となるのです。

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久しぶりに起動するパソコンのセキュリティ対策

長期間使用していなかったパソコンを起動する際は、セキュリティ対策が特に重要になります。
まず、OSの更新プログラムを必ず最新の状態にしましょう。古いバージョンのOSは、様々なセキュリティ脆弱性を抱えている可能性があります。OSの更新手順についてですが、Windowsユーザーは「設定」アプリを開き、「更新とセキュリティ」を選択した後、「Windowsの更新」セクションで最新のセキュリティパッチを適用できます。一方、macOSユーザーは「システム環境設定」を開き、「ソフトウェアアップデート」を選択することで、同様に最新のセキュリティアップデートを入手できます。
またウイルス対策ソフトに関しては、パソコンのOS毎に無料で提供されているものがあります。Windowsでは「Windows Defender」が、macOSでは「XProtect」が標準で搭載されています。これらは基本的な保護機能を提供しますが、さらに包括的な保護を求める場合は、有料のセキュリティソフトウェアが選択肢となります。代表的な有料ウイルス対策ソフトには、ノートン、マカフィー、トレンドマイクロなどがあります。これらのソフトを選ぶ際は、リアルタイム保護機能、クラウドベースのスキャン能力、堅牢なファイアウォール機能、そして軽量で高速な動作が可能かなどを基準にすると良いでしょう。
アプリケーションの管理においては、使用していないソフトウェアを徹底的に整理することが重要です。インストールされているアプリの日時を確認し、使用頻度の低いソフトウェアは積極的に削除しましょう。特に注意が必要なのは、古いバージョンのアドビリーダーやJavaなどのアプリケーションです。これらは深刻なセキュリティリスクとなる可能性があるため、最新版に更新するか、不要であれば完全に削除することをお勧めします。
さらに、ブラウザの拡張機能や保存されたパスワードも詳細に確認する必要があります。不要または不審な拡張機能は速やかに削除し、クラウドストレージやオンラインアカウントのセキュリティ設定も慎重に見直しましょう。必要に応じてパスワードを変更することで、アカウントの安全性を高めることができます。

このような包括的なアプローチにより、長期間使用していなかったパソコンのセキュリティを効果的に強化することができます。定期的なメンテナンスと警戒心を持ち続けることが、デジタル環境での安全を確保する鍵となります。

安全な年賀状印刷のためのヒント

年賀状を安全に印刷するためには、いくつかの注意点があります。
印刷データの取り扱いには、細心の注意が求められます。個人情報を含む画像や文書の使用を最小限に抑え、印刷後は一時的に保存したデータを完全に削除する必要があります。また、画像編集ソフトを使用する際は、信頼できる最新バージョンを選択することが重要です。特に、年賀状に使用する画像データの管理には慎重を期す必要があります。撮影時の位置情報であるEXIF情報を削除し、画像を適切に圧縮および最適化することが推奨されます。一時ファイルは完全に削除し、クラウドストレージを利用する場合は、セキュリティ設定を十分に確認しましょう。プライバシー保護の観点から、年賀状に使用する写真は、共有を明確に意図したものに限定し、不必要な個人情報の露出を避けることが大切です。さらに、プリンタのセキュリティ対策も忘れてはいけません。家庭内Wi-Fiのパスワードが初期値のままであったり推測されやすいパスワードの場合は変更し、プリンタ本体のファームウェアも最新版に更新することで、より安全な印刷環境を確保できます。
これらの対策により、個人情報の保護と安全な年賀状作成が可能となります。

日常的なセキュリティ習慣の重要性

セキュリティ対策は、年賀状印刷の時期だけでなく、日常的に実践することが最も重要です。強力で独自のパスワードを使用し、定期的に変更することが基本中の基本となります。
セキュリティ対策における高度なパスワード管理は、いくつかの重要な要素で構成されます。まず、パスワードの複雑性ですが、総務省などでは、他人に推測されにくいように最低でも10文字以上の文字数で構成されるある程度長いランダムな英数字の並びとし、パスワード内に数字や記号、アルファベット(大文字、小文字)が混ざっていることが好ましいとされております。さらに複数のサービスで使い回さないことを推奨しています。個人情報や容易に推測できる情報を避け、予測困難なパスワードを作成することが肝心です。
パスワード管理ツールの活用も、セキュリティ強化において重要な対策となります。専門のパスワードマネージャーを利用することで、ランダムに生成されたパスワードを安全に暗号化し、保管することができます。これにより、各アカウントで異なる複雑なパスワードを管理できるため、セキュリティリスクを大幅に低減できます。 多要素認証の徹底も、デジタルセキュリティを高める上で欠かせない方法です。二段階認証を設定し、生体認証を活用することで、追加のセキュリティ対策が可能となります。単一のパスワードだけでなく、複数の認証方法を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。
効果的なパスワード管理のためには、各アカウントで異なるパスワードを使用し、定期的にパスワードを変更することが推奨されます。また、パスワードマネージャーの利用を真剣に検討し、安全で複雑なパスワードの生成と管理を自動化することが賢明です。
さらに、不審なメールやリンクを開かないこと、未知の送信者からの添付ファイルを開かないことといった基本的な注意点を常に意識することが、包括的なセキュリティ対策の重要な一部となります。
これらの習慣を日常的に実践することで、個人のデジタル衛生を保ち、現代のサイバー脅威に効果的に対処することができます。

まとめ

年賀状印刷は、家族や友人とのつながりを感じる素敵な機会です。セキュリティへの意識と適切な対策があれば、安心してこの伝統を楽しむことができます。デジタル技術の進化は私たちの生活を豊かにしますが、同時に新たなリスクももたらします。少しの注意と準備で、安全に年賀状を作成・印刷し、大切な人々とのコミュニケーションを楽しむことができるのです。
テクノロジーを恐れる必要はありません。正しい知識と適切な対策があれば、誰もが安心してデジタル技術を活用できます。また、ここまでの内容が難しい方もいらっしゃったかもしれません。その場合、パソコンを動かす前にまずはご家族や知人など詳しい方にセキュリティについてご相談される事をお勧めします。この記事が、読者の皆様の年賀状作成の一助となり、安全で豊かなデジタルライフの第一歩となることを願っています。

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